コンクリートの補修・調査
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11/04/1999
補修の目的を明確にする
補修の目的を明確にする
補修の目的を、1)構造物の強度の回復を図る 2)構造物の水密性や密実性の回復によって劣化の進行速度を落とす 3)美観の回復 のように分類し、その目的別に補修の方法を変えるべきと考えます。
 鉄筋コンクリートの構造計算は、コンクリートの引っ張り強度は無視し、コンクリート構造内に生ずる曲げ引っ張り力は全部鉄筋に受け持たせるという前提によっています。コンクリートには許容せん断応力度が規定されておりますが、これはせん断力が大きい部分の主応力方向の斜め引っ張り応力に対処するためであります。せん断力への対処のために斜め引っ張り鉄筋配置の配慮をしても、尚せんだん応力度に制限があるのは、それだけ斜め引っ張り応力が構造物にとって危険であり、構造物の断面増で対処する、即ちコンクリート材料自体の強度をある程度期待するためと思われます。従って、構造物の部位によってはコンクリート自体が持つある程度の引張強度が期待される場合もあると考えられます。
 コンクリートには施工時や常時の段階で、大小のひび割れや浮きが生じますが、その約90%程度はコンクリートの乾燥収縮を原因とするもので、それらのひび割れはよほど大きな場合は別にして構造物の強度に対しての影響はなく、それらの対処としては、コンクリート自体の密実性を失うことによる中性化の促進や、雨水、湿気の侵入による鉄筋の発錆促進による鉄筋コンクリートの経年による強度低下を防げば十分なことも多いのです。これらの現象に対処するひび割れ補修は「経年劣化防止のための補修」といえるでしょう。
 一方、鉄筋コンクリート構造物には、地震力によりひび割れが発生したり軽度の破壊被害を受けたり、仕様書変更により強度不足が指摘されたり、構造物の完成後強度上重要な場所に施工不良が発見されたりする場合があります。このような箇所の補修にはコンクリート自体が本来持つべき強度の回復、あるいは付与を図る必要があります。しかしながらこのような部位においても、補修自体に内部応力を受け持たせる場合(鉄板やブレース、炭素繊維による補強など)は別にして、補修材が鉄筋コンクリートを一体化させるためだけの目的で使用される場合(ひび割れ充填など)には、補修材とする材料には理論的にはコンクリート自体が本来持つべき強度以上の強度を期待する必要はない筈です。何故なら幾ら強い材料を使っても、コンクリート構造物の補修にあたっては、コンクリート自体が当然に破壊する強度以上の内部応力が発生すれば当然その強い材料のすぐ隣で破壊するからです。鉄筋コンクリート構造物の力学的強度に関係するひび割れ補修は「コンクリートの強度回復のための補修」とでも呼ぶべきもので、この補修は全ひび割れ補修の中で約10%程度と思われます。
 従って、補修にあたっては上記の2種類の目的別に補修方法を変えるべきであろうと思われます。2つの種類別の補修方法は次のようなものとなりましょう。
1)「経年劣化防止のための補修(ひび割れに限定)」 : 構造物の新設時点ですでに入っているひび割れ、経年変化に伴って生じてきたひび割れやモルタル外壁の浮き。このためのひび割れ注入のためには、その目的は構造物の密実性の回復であり(浮きの場合はピンで付着強度を持たせる)、そのためには広範囲の注入確実性を第一に重視すべきであり、材料自体の強度は第二となりましょう。市販流通しているセメント系注入材料は全て大丈夫と思われます。
2)「コンクリートの強度回復のための補修(ひび割れに限定)」 : 構造物の強度に重大な影響を与える打設不良箇所(空隙箇所や分離箇所)の補修、常時加重により動的な影響を受ける部分の補修、せん断力が大きい部分(本体と突出部との交点)での打ち継ぎ場所の補修、地震で生じたひび割れの補修、明らかに耐震補強を目的とする補修等。この場合には注入時の水セメント比スラリーに対応した硬化後の圧縮強度、曲げ強度、引張強度、付着強度、硬化時の収縮率が問題となりましょう。これらの、材料特性につきましては、個々の材料製造メーカーにお問い合わせください。尚、寒冷地で冬期に使用の場合は材料低温特性も問題になりますので併せて材料製造メーカーにお問い合わせください。


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