コンクリートの補修・調査
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コンクリート補修工法選定基準の考え方



参考文献:コンクリート診断技術(日本コンクリート工学協会

目次
Step1.基本的考え方
Step2.補修・補強の定義と目的(土木分野)
  主な補修工法の種類
  主な補強工法の種類(土木)
  主な補強工法の種類(建築)
Step3.補修・補強計画
  検討要素
  要求される性能
  対象の明確化
  目標レベルの明確化
  劣化要因と補強方法
Step4.コンクリート劣化機構と工法選定
 中性化
 塩害
 凍害
 化学的侵食
 アルカリ骨材反応
 風化・老化
 火災


Step1.基本的考え方

 コンクリート構造物の維持管理は、一般に下図に示す手順で実施される。コンクリート構造物の性能を維持するためには、構造物の調査・診断結果を踏まえ現状におけるコンクリートの劣化度と今後の劣化進行予測に基づき、適切な維持管理を定期的に行う必要がある。補修・補強方法の選定にあたっては、構造物の変状の原因及び劣化状況を十分に調査し、これらの劣化メカニズムに適切に対応できる方法とすることが重要である。


コンクリート構造物の維持管理の実施フロー
 補修・補強の実施にあたっては、構造物の劣化状況やその安全性への影響度により緊急度を判断して対応する。変状の原因の排除が困難な場合や変状の進行が速い場合には、対象とするコンクリート構造物の期待余命やライフサイクルコストを考慮して補修・補強の目標レベルを設定し、長期的な視野に立った補修・補強の維持管理計画を立案する必要がある。

Step2.補修・補強の定義と目的(土木分野)

【補修の定義】
 補修とは、劣化した部材あるいは構造物の今後の劣化進行を抑制し、耐久性の回復・向上と第三者影響度(劣化した構造物の周囲において剥落コンクリートなどが人及び器物に与える傷害などの影響度合い)の除去または低減を目的とした対策である。

主なコンクリート補修工法の種類
補修工法
ひび割れ補修工法表面塗布工法
(漏水対策を含む)注入工法
充填工法
断面修復工法左官工法
吹付け工法
グラウト工法
表面被覆工法
電気化学的修復工法電気防食工法
脱塩工法
再アルカリ化工法
その他補修工法含浸剤塗布工法
剥離防止工法
 補修工事は、部材または構造物の劣化要因、劣化程度に応じた適切な補修工法や材料を選定して実施されなければならない。通常これらの工法は構造物の変状の種類、劣化機構、劣化程度に応じて、単独もしくはいくつかの工法を併用して実施される。
 
【補強の定義】
 補強とは、部材あるいは構造物の耐荷性や剛性などの力学的な性能低下を回復または向上させることを目的とした対策である。力学的な性能低下は材料の劣化損傷や過大な荷重の負荷によって引き起こされる。また、法的基準変更によっても対策が必要になる。

主な補強工法の種類(土木)
コンクリート部材の交換-----打換え・取替え工法
コンクリート断面の増加増厚工法
コンクリート巻き立て工法
部材の追加-----縦桁増設工法
補強工法支持点の追加-----支持工法
補強材の追加鋼板接着工法
FRP接着工法
鋼板巻立て工法
FRP巻立て工法
プレストレスの導入-----外ケーブル工法

主な補強工法の種類(建築)


補強工法耐震補強

_________

_________
RC造耐震壁の増設
枠付鉄骨ブレースの増設
鋼板パネルの増設
炭素繊維シートによる柱・梁の補強
鋼板による柱・梁の補強
後打ちによる柱・梁の補強
免震対策
制震対策
積層ゴムG --- 基礎・柱頭・中間階(ゴム位置の分類)
           高減衰ゴム・ダンパー(免震機構で分類)
ダンパーH --- 粘塑性・粘弾性・粘性・鉛(ダンパー種類で分類)

Step3.補修・補強計画

コンクリート構造物の補修・補強方針の決定及び工法選択に際しては、次のような要素を考慮する必要がある。

(1)検討要素
 基本事項
 対象の明確化:変状の種類、程度、原因
 構造物の要求条件:機能、性能、余寿命
 回復目的レベル:補修・補強効果の目標

 材料・工法の比較検討
 基本性能:材料物性(硬さ、強さ、接着性、伸び、耐水、防水、遮塩性等)
 効果と
 持続性(耐久性)
:補修・補強性能、材料寿命(資料、試験、実績等)
 経済性:材料・施工コスト、ライフサイクルコスト
 施工性:作業性、取扱い安全性、工数低減、維持保全性(補修性)
 美装性(意匠性):質感、色、模様、下地隠蔽、耐汚染

(2)対象の明確化
 補修・補強方針の検討や工法の選択に際しては、調査診断結果に基づいて、補修・補強の対象とすべき変状の種類、発生程度と範囲、更に発生原因と要因を正しく理解し認識する必要がある。目に見える変状は同じでも発生原因によって適切な補修・補強の方法は異なるので、原因、要因の認識を誤ると変状の再発や拡大を招く恐れもある。

(3)目標レベルの明確化
 目標レベルとは、補修・補強の実施によって得られる期待効果の程度である。様々な条件を考慮したうえで右表に示したような補修・補強後に期待する性能の目標レベルを設定し、その目標を達成するために最適な補修・補強工法を選定する努力が重要である。変状の発生原因が一過性で、規模が小さく、顕在化している変状箇所の補修・補強だけで周辺部への拡大や再発の恐れが無いような場合には工法選定も単純であるが、原因の排除が困難な場合や変状の進行程度が重度の場合には、一時的な処置とならざるを得ないケースもあり、「どこまで直すか」という目標レベルの明確化が重要になる。
 更には、対象構造物の期待余寿命やライフサイクルコストの考慮、補修・補強後の維持管理方法や頻度なども勘案して目標レベルを設定する必要がある。

 目標レベルの区分例
 A)応急安全性確保を主眼に一時的に行う処置、変状の進行防止や原因排除は二の次とする。
 B)暫定変状が顕在化した部位のみを対象に補修する処置で、原因排除を伴わないために、変状が顕在化するたびに処置していくことが前提である。
 C)延命顕在化している変状箇所を補修するとともに、その他の部位に対して変状要因の作用を抑制し、少なくとも数年は同じ症状の再発を防止できるというレベル。
 D)恒久顕在化している変状箇所を補修するだけでなく。内在する劣化要因をほとんど完全に除去し、外的要因の排除あるいは軽減を図り、およそ10年以上にわたって恒久的な補修効果を期待するレベル。

 
劣化要因と補強方法
 

Step4.コンクリート劣化機構と工法選定

 補修・補強の工法選択に際しては、以下の要因を基に選定を実施する。

 選定する要因(のリンク先は各劣化機構に対する補修・補強工法)
 劣化機構中性化
塩害
凍害
化学的侵食
アルカリ骨材反応
:疲労
風化・老化
火災
 要求性能:劣化因子の遮断
:劣化速度の抑制
:劣化因子の除去
:耐荷力・変形性能の改善
 劣化の進行過程:潜伏期
:進展期
:加速期
:劣化期
 
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